※本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれます。
「家を貸すと決めた。それで、次は何をすればいいんだろう」
私が実際にそう思った。売るか貸すかで散々悩んで、ようやく「貸す」と決めたのに、そこから先の手順が分からない。調べても、不動産会社が書いた一般論ばかりで、どの順番で何をするのかが見えてこなかった。
この記事では、私が実際に通った工程を、順番どおりに書いていく。それぞれの工程で判断に迷った点や、実際にかかった金額も添えた。これから貸す人が、全体像を掴むための地図になればと思う。
全体の流れ
まず、全体像から。我が家の場合、こういう順番だった。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1 | 査定を取り、貸した場合の利回りを計算する |
| 2 | 管理会社を探し、比較する |
| 3 | 管理の形態を決める(全委託かサブリースか) |
| 4 | 家賃を決める |
| 5 | 契約形態を決める(普通借家か定期借家か) |
| 6 | 貸せる状態にする(クリーニング・修繕) |
| 7 | 募集を開始する |
| 8 | 内覧に対応する |
| 9 | 契約・引き渡し |
順に見ていく。
1. 査定を取り、利回りを計算する
「貸す」と決めていても、まず査定は取ったほうがいい。売ったらいくらになるかを知らなければ、貸し続けることが本当に得なのかを判断できないからだ。
私の場合、査定額は約4,500万円。取得価格2,500万円に対して家賃が年240万円なので、表面利回りは9.6%だった。ただし、経費を引いた実質利回りは8.4%、ローン返済まで引いた手残りベースでは5.0%まで下がる。同じ物件でも、何を引くかで数字はまったく変わる。この計算の全内訳は別記事にまとめた。
2. 管理会社を探し、比較する
ここに、いちばん時間をかけた。借り手を見つけてくるのは、結局のところ管理会社の力だからだ。どんなに良い物件でも、募集力のない会社に任せれば空室が続く。
私は3社とやりとりして、対応の差に驚いた。誰もが知る大手からは、知識も経験も浅い若手の担当者が来て、何の提案もないまま終わった。いま契約しているのは、独立したての社長が自ら動いている会社だ。以前は大手の管理会社に勤めていた方で、客のニーズをよく分かっている。
会社の看板ではなく、「誰が動いてくれるのか」で選ぶ。これが、大家として一番伝えたいことだ。
3. 管理の形態を決める
管理会社を探していると、必ずと言っていいほどサブリース(家賃保証)の提案を受ける。空室でも家賃が保証されるという仕組みで、確かに魅力的に聞こえる。
私は選ばなかった。保証家賃が相場より低く設定されること、数年ごとに減額を求められるケースが多いこと、オーナー側から解約しにくいことなど、9つの理由がある。要するに、お金の流れがオーナーから見えなくなるのが嫌だった。
結局選んだのは、管理会社への全委託だ。手数料は家賃の5%(月15,400円)。この金額で、入居者の募集、家賃の集金、クレームや設備トラブルの一次対応まで引き受けてもらえる。本業を持ちながら自主管理で全部やるのは、正直、現実的ではない。
4. 家賃を決める
家賃は一度決めたら、簡単には上げられない。最初にどこに置くかが、その後の収支をずっと左右する。
我が家は、周辺相場よりかなり強気の月20万円に設定した。木造平屋であること、十分な広さ、車庫と庭が付いていること、そして立地。この条件なら需要があると見込んでの判断だ。結果として、値引き交渉は一度もなかった。
ただしこれは、条件が揃っていたから通った話でもある。相場より高く出すなら、それを裏付ける根拠が本当にあるかを冷静に見極めたほうがいい。
5. 契約形態を決める(ここが意外と重要)
見落とされがちだが、賃貸借契約には2種類ある。普通借家契約と定期借家契約だ。
| 普通借家契約 | 定期借家契約 | |
|---|---|---|
| 契約期間 | 更新が前提 | 期間満了で終了 |
| 更新 | 入居者が希望すれば基本的に更新される | 更新なし(再契約は双方合意が必要) |
| オーナーからの退去要請 | 正当事由がなければ難しい | 期間満了で可能 |
| 家賃の見直し | 難しい | 再契約時に調整しやすい |
私が選んだのは2年の定期借家契約だ。
いま戻るつもりはまったくない。それでも定期借家にしたのは、決定権を自分の側に残しておきたかったからだ。もし将来、事情が変わって戻りたくなったら戻れる。相場が動けば、再契約のタイミングで家賃を調整できる。普通借家にしてしまうと、入居者が住み続けたいと言えばそれを断るのは非常に難しく、家賃を上げるのも簡単ではない。
もちろん、定期借家には弱点もある。「2年で出ていかなければならないかもしれない」という条件は、入居希望者にとってはマイナスだ。その分、借り手がつきにくくなる可能性はある。我が家の場合は、物件の条件が良かったことで、それでも決まったという面が大きいと思っている。
6. 貸せる状態にする
「貸せばお金が入る」の前に、「貸せる状態にするお金が出ていく」。ここは見落としやすい。
我が家の初期費用は197,120円だった。ハウスクリーニングと、傷んだ箇所の修繕が中心だ。手残りが月約10万円なので、約1.9ヶ月で回収できた計算になる。
7〜9. 募集・内覧・契約
ここは工程が連続するので、まとめて書く。
我が家がやったのは、自分たちがまだ住んでいるうちから募集を始めることだった。退去の1ヶ月前には募集をかけてもらっている。退去後に動き出せば、その分だけ確実に空室期間が延びるからだ。家賃20万円なら、空室1ヶ月は20万円の機会損失になる。
内覧は、生活感を残したまま実施した。空っぽの部屋を見せるより、「ここに住んだらどんな生活になるか」をイメージしてもらいたかったからだ。そして、家の傷や劣化箇所は包み隠さず全部見せた。先に伝えておくほうが、入居後のトラブルを避けられる。
結果は、内覧3組、約2週間で申し込み、空室期間ゼロ。この流れの詳細はこちらの記事に書いている。
貸したあとにも、判断は続く
契約すれば終わり、ではなかった。入居から1ヶ月ほどで、エアコンが1台故障した。
そのエアコンは残置物扱いで契約していたので、直す義務は私にはない。それでも修理代を出した。入居してすぐにエアコンが壊れて「残置物なので直せません」と言われたら、そこから始まる関係は間違いなく気まずくなる。沖縄でエアコンなしの生活は現実的ではないし、長く住んでもらうことを考えれば、契約上の義務より最初の印象のほうが大事だと判断した。
契約上の義務と、大家としてどう振る舞うかは別。これは貸してみて初めて実感したことだった。
まとめ:チェックリスト
- ☐ 査定を取る(貸すと決めていても、比較のために必要)
- ☐ 貸した場合の利回りを、表面・実質・手残りの3つで計算する
- ☐ 管理会社を複数社比較する(看板より「誰が動くか」)
- ☐ サブリースの提案は、条件を一つずつ確認してから判断する
- ☐ 家賃は根拠を持って決める(一度決めると上げにくい)
- ☐ 普通借家か定期借家かを決める(決定権をどちらが持つか)
- ☐ クリーニング・修繕の費用を見積もる
- ☐ 退去前から募集を始められないか相談する
- ☐ 内覧では傷も含めて正直に見せる
- ☐ 火災保険の扱いがどうなるか、保険会社に確認する
最後の火災保険について、正直に書いておく。私自身、貸すときにこの確認を飛ばしてしまった。持ち家を人に貸すと契約者の立場が変わるため、本来は先に確認すべきだったが、記事を書く過程で見落としに気づき、後から保険会社に問い合わせた。
【追記】火災保険はどうなるのか、実際に保険会社に聞いてみた
調べると「賃貸に出すと住宅物件から一般物件の扱いになる可能性がある」「通知義務違反になると保険金が支払われないことがある」といった情報が出てくる。不安になったので、加入している保険会社(楽天損保)に直接問い合わせた。
聞いたのは、次の3点だ。
- 現在の契約のまま、補償は有効か(通知義務違反にあたらないか)
- 家財の補償が付いている場合、自分の家財はもう無いので不要ではないか
- 貸主として新たに必要になる補償(施設賠償責任など)はあるか
返ってきた回答は、こうだった。
| 確認したこと | 回答 |
|---|---|
| 現契約のまま補償は有効か | 有効。加入している家庭総合保険は、保険期間中に賃貸となった場合でも建物補償を継続できる |
| 家財補償の扱い | そもそも建物補償のみの契約だったため、無駄な部分はなし |
| 必要な手続き | 契約者住所の変更のみ(送付物の宛先のため) |
結果としては、契約内容の変更は不要だった。ただし契約者住所の変更手続きは必要だ。当たり前だが、自分はもうその家に住んでいない。手続きをしないと、保険の重要書類が入居者の住む家に届いてしまう。
ここで強調しておきたいのは、これはあくまで「私の契約の場合」の答えだということだ。保険会社によっても、加入している商品によっても、扱いは変わる。同じ「持ち家を貸す」でも、契約の切り替えが必要になるケースもあれば、そもそも継続できないケースもありうる。
だからこそ、自分で確認してほしい。私が問い合わせに使ったのは保険会社のWebフォームで、費用は一切かからなかった。回答も翌日には届いた。数分の手間で、台風や火災のときに「保険が下りない」という最悪の事態を避けられる。沖縄のように台風被害のリスクが高い地域なら、なおさらだ。
ちなみに、火災保険そのものの見直しについては10年で60万円だった保険料を30万円にした記事と、沖縄の台風と火災保険の記事にまとめている。
そして、すべての出発点は変わらない。自分の家がいくらで売れて、いくらで貸せるのかを知ることだ。この2つの数字が揃って初めて、貸すという判断が正しいのかを確かめられる。


コメント