沖縄移住の生活費、地元民が正直に書く。安くなる項目と高くなる項目

沖縄暮らしの家計

「沖縄に移住したら、生活費はいくらかかるのか」

調べると、移住した人のブログはたくさん出てくる。ただ、多くは移住して数年の方が書いたものだ。それはそれで参考になるが、私が書けるのは少し違う立場からの話になる。

私は沖縄で生まれ育ち、いまも家族5人でここに住んでいる。持ち家を手放して賃貸に移り、家計を数字で洗い出してきた。移住者ではなく、ずっとここで暮らしている側から見た「沖縄の生活費のリアル」を書こうと思う。

結論から言うと、沖縄の生活費は「安い」とも「高い」とも言い切れない。安くなる項目と、確実に高くなる項目がはっきり分かれているからだ。

まず、我が家の実額から

夫婦と子ども3人(9歳・6歳・1歳)の5人家族。月の生活費は約38万3,500円だ。内訳の全項目は家計簿の記事で公開している。

この記事では、そこから移住を考えている人が特に知りたいであろう項目だけを取り出して、深掘りしていく。

安くなる項目:家賃

沖縄で明確に安いのは家賃だ。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、県内の借家の平均家賃はこうなっている。

エリア1か月あたり平均家賃
那覇市52,715円
浦添市51,619円
宜野湾市51,320円
沖縄市48,378円
うるま市44,250円
沖縄県全体49,379円

ただし、ここに落とし穴がある。この数字はいま住んでいる人が実際に払っている家賃の平均であって、これから部屋を探す人が目にする「募集家賃」ではない。統計では5万円台でも、実際に探すと7万円するという乖離が起きる。理由も含めて家賃相場の記事で詳しく書いた。

とはいえ、都市部の家賃と比べれば安いのは確かだ。ここは移住のメリットと言っていい。

確実に高くなる項目①:車

移住を検討する人が最も見落としやすいのが、ここだと思う。

沖縄には、那覇のゆいレール以外に鉄道がない。バスはあるが本数が限られ、エリアによっては車なしの生活は現実的ではない。そして重要なのは、1家族で車2台が珍しくないということだ。夫婦どちらも働いていれば、通勤にそれぞれ必要になる。

我が家の車関連費は、車ローン約25,000円と燃料費約16,000円で月41,000円。これに自動車保険や車検の積立を加えれば、さらに増える。

家賃が月1万円安くなっても、車がもう1台必要になれば差し引きでマイナスになる。「家賃が安い」だけで生活費を計算すると、ここで狂う。我が家の車2台にかかる年間コストは約75〜80万円だった。全内訳はこちらの記事にまとめている。

自動車保険を安さだけで選んで後悔した話は別記事に書いた。車が生活の必需品である以上、ここは削りどころを間違えないでほしい。

確実に高くなる項目②:電気代

我が家の電気代は月約13,000円。これは全国平均と比べて特別高いわけではないが、沖縄には構造的な事情がある

「冬に暖房がいらないから光熱費が安い」と言われることがある。確かに暖房費はほぼかからない。ただし、夏のエアコン稼働期間が本土より圧倒的に長い。5月から10月まで、ほぼ毎日つけっぱなしになる家庭も多い。しかも湿度が高いので、除湿のために動かす時間も長くなる。

単価そのものが突出して高いわけではない。それでも請求額が大きくなる理由については、実際の単価データで検証した記事をこちらにまとめている。

確実に高くなる項目③:台風という「毎年の経費」

これは移住してから気づく人が多い項目だと思う。

気象庁の統計(1991〜2020年の30年平均)によると、沖縄地方への台風の年間接近数は7.7個。ピークの8月と9月だけで年間の半分近くが集中する。

持ち家なら、屋根・外壁・雨どい・カーポートが毎年傷んでいく。私はこれを「たまに起きる災害」ではなく「毎年発生する経費」として捉えるべきだと考えている。賃貸なら修繕は大家の負担になるので、この点は移住直後は賃貸から始めるほうが安全かもしれない。

火災保険で沖縄なら外せない補償についてはこちらの記事に書いた。

いちばん大事な話:収入が下がる可能性

生活費の話をしてきたが、移住を考えるなら収入側を必ずセットで見てほしい

沖縄県の平均年収は、全国的に見て低い水準にある。調査によって数字に幅はあるが、都道府県別で下位に位置するのは各種統計で共通している。背景には、非正規雇用の割合が全国平均より高いこと、産業構造がサービス業に大きく偏っていることがある。

つまり、家賃が安いという事実だけを見て移住すると、収入の下落幅のほうが大きくて家計が苦しくなることがありうる。

リモートワークで本土の給与水準を維持できるなら、沖縄移住は家計面で有利に働きやすい。逆に、こちらで転職して収入を得る前提なら、生活費だけでなく見込み年収まで含めて計算する必要がある。

まとめ:項目ごとに分けて考える

項目沖縄では
家賃安い(ただし募集家賃は統計より高い)
暖房費ほぼ不要
高い(2台必要な家庭も多い)
電気代夏の稼働期間が長く負担が大きい
住宅の維持費台風で毎年傷む前提が必要
収入全国的に見て低い水準

沖縄の生活費は、単純に「安い」でも「高い」でもない。安くなる項目と高くなる項目を、自分の暮らし方に当てはめて計算するしかない。車を2台持つのか1台で足りるのか、収入は維持できるのか。そこが変われば、答えは正反対にもなる。

移住を煽るつもりも、止めるつもりもない。ただ、私自身が家計を数字で洗い出して分かったのは、思い込みで判断すると必ずどこかでズレるということだった。良いところも大変なところも、数字で確かめてから決めてほしいと思う。

沖縄の人との距離感や、移住者が戸惑いやすい点についてはこちらの記事にまとめている。我が家の生活費の全項目はこちらの記事で公開している。持ち家と賃貸で家計がどう変わったかは実数字の比較記事にまとめた。

出典: 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、気象庁 台風統計(1991〜2020年平均)

どのエリアに住むかで生活費は大きく変わる。エリア別の実感はこちらの記事にまとめた。

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