沖縄移住を決めたとして、次に迷うのが「どこに住むか」だ。
沖縄本島は南北に長く、エリアによって暮らしがまったく違う。家賃も、生活の便も、必要な車の台数さえ変わる。ここを間違えると、移住そのものが後悔に変わりかねない。
この記事では、沖縄で生まれ育ち、いま読谷村に住んでいる私が、エリアごとの実感を書いていく。家賃の数字だけでは見えない部分を伝えられたらと思う。
まず、家賃の相場を押さえる
総務省の令和5年住宅・土地統計調査による、エリア別の平均家賃はこうなっている。
| エリア | 1か月あたり平均家賃 |
|---|---|
| 那覇市 | 52,715円 |
| 浦添市 | 51,619円 |
| 宜野湾市 | 51,320円 |
| 沖縄市 | 48,378円 |
| うるま市 | 44,250円 |
| 沖縄県全体 | 49,379円 |
数字だけ見ると差は小さく感じるかもしれない。ただし、これは統計上の平均であって、実際に探すときの募集家賃はもっと高い(その理由はこちら)。そして数字に表れない差のほうが、実は大きい。
那覇市:便利さは文句なし。ただし家賃は高い
那覇市は、県内で唯一モノレール(ゆいレール)が走るエリアだ。空港も近く、ショッピングや娯楽へのアクセスは文句なし。夜の街も賑わっている。
その分、家賃は高く設定されていることが多い。特にモノレールの駅近など立地の良い物件は競争率が高く、入居率も高い。空きが出てもすぐ埋まる。
向いているのは、職場が那覇市内にあって、ある程度収入がある人だ。逆に言えば、家賃の高さを収入で吸収できないと厳しい。
ただし那覇には大きなメリットがある。公共交通が使えるので、車を1台に減らせる可能性があることだ。沖縄で車2台を維持すると年間75〜80万円かかる(実額はこちら)。家賃が月1万円高くても、車を1台減らせるなら十分に元が取れる。
浦添市・宜野湾市:那覇にも北谷にも近い人気エリア
那覇の北に隣接する浦添市と宜野湾市は、県内でも人気が高い傾向にある。
理由はシンプルで、那覇にも近く、人気の北谷町にも近いからだ。那覇へ通勤しながら、休日は北谷のアメリカンビレッジや海沿いで過ごす、という生活が現実的に成り立つ。
家賃は那覇より1,000〜1,500円ほど安い程度で、実質的には「準都心価格」だ。それでも人気があるのは、この立地の良さゆえだと思う。
沖縄市・うるま市:費用を抑えたい人に
中部の沖縄市・うるま市は、家賃や土地代を少し抑えたい人に向いている。うるま市の平均家賃44,250円は、那覇と比べて月8,000円以上安い。年間では10万円近い差になる。
ただし、ここで大事なことを言っておきたい。
移住者は「沖縄でどんな暮らしがしたいか」を先に決める必要がある。田舎でのんびり過ごすのもいい。でも、場所によっては病院やお店が遠い。ここを軽く見ると、住み始めてから苦労することになる。
北部:名護と、それより北では事情がまるで違う
北部への移住に憧れる人は多い。海が近く、自然が豊かで、沖縄らしい暮らしのイメージそのものだ。ただ、ここは「北部」とひとくくりにしてはいけない。
名護市なら、まだ病院も近くショッピングセンターもあるので住みやすい。北部の中心地として機能している。
一方で本部町、今帰仁村、国頭村あたりになると、事情がまったく変わる。病院が遠く、お店もなかなか遠い。日常の買い物や、急な体調不良のときにどうするか。ここを具体的に想像できないまま移住すると、確実に苦労する。
自然の豊かさと生活の利便性は、残念ながらトレードオフだ。
私が読谷村を選んだ理由
参考までに、我が家がいま住んでいるのは読谷村だ。持ち家を手放して1LDKの賃貸に移るとき(その経緯はこちら)、エリア選びで重視したことを正直に書いておく。
難点もある。高速道路から遠く、大きな病院もない。この2つは、選ぶ前から分かっていたマイナス点だ。
それでも選んだのは、次の理由からだった。
- お店がここ最近かなり充実してきたこと。日常の買い物で困らなくなった
- 静かで暮らしやすいこと
- 職場や都心へのアクセスが確保できること
- 保育園の待機児童が少ないこと
- 子育て支援が充実していること
特に後半2つ。子どもがまだ小さいので、保育園に入れるかどうかは死活問題だった。家賃が安くても、保育園に入れず働けなければ意味がない。
移住の記事で「保育園」に触れているものは意外と少ない。でも子育て世帯にとっては、家賃や海までの距離より優先度が高い項目になりうる。我が家は保育料に月33,500円かかっている(家計の全項目はこちら)。
エリア選びで確認したいこと
- ☐ 職場までの通勤時間(渋滞込みで考える)
- ☐ 車が何台必要になるか(那覇なら1台で済む可能性)
- ☐ 大きな病院までの距離
- ☐ 日常の買い物ができる店の充実度
- ☐ 子育て世帯なら、保育園の待機児童数と子育て支援の内容
- ☐ 高速道路へのアクセス
- ☐ 近所付き合いの濃さ(都市部ほど薄い傾向・詳細はこちら)
まとめ:家賃の数字だけで決めない
エリア選びで一番やってはいけないのが、家賃相場の表だけを見て決めることだ。
うるま市は那覇より月8,000円安い。でも車がもう1台必要になれば、その差は簡単に消える。北部の自然は魅力的だが、病院が遠いことをどう受け止めるか。子育て世帯なら、保育園に入れるかどうかが最優先かもしれない。
まず「沖縄でどんな暮らしがしたいか」を決める。そのうえで、家賃・車・病院・買い物・保育園を並べて比較する。順番を逆にすると、数字は合っているのに暮らしが合わない、という状態になりかねない。
沖縄の生活費全体はこちらの記事に、車の維持費はこちらにまとめている。
出典: 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」

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