第5章 手放して変わった家計。浮いたお金の使い道
ここまで、持ち家を手放したことで数字がどう変わったかを書いてきた。持ち家コストは月9.7万円(第2章)。貸すことを選んだ家からは、手残り約10万円が入ってくる(第3章)。
では、そうして生まれたお金を、我が家はどう使っているのか。この章では、その中身を正直に書こうと思う。
浮いたお金の配分
我が家では、浮いたお金をだいたい次のように振り分けている。
| 貯金 | 5万円 |
| 投資 | 2万円 |
| 旅行費用の積み立て | 3万円 |
| 家族のお出かけ費用 | 残り |
特別なことは何もしていない。ただ、先に貯金と投資と旅行費を機械的に取り分けて、残った分を家族で自由に使う。それだけだ。
「貯蓄がないから、保険に入らざるを得ない」から抜け出せた
この配分の中で、いちばん大きく変わったのは、実は保険との付き合い方だった。
持ち家時代、我が家には貯蓄と呼べるものがほとんどなかった。だから、何かあったときの備えを、保険に頼るしかなかった。火災保険で「とにかく手厚く」入っていたのも(その顛末は別の記事に書いた)、根っこにはこの「貯蓄がないから、保険で備えるしかない」という事情があった。
でも、先取りで貯金ができるようになったいま、状況が変わった。ちょっとした出費なら、貯蓄でまかなえる。だから保険は、「確率は低いが、起きたら自分では払いきれない」ことにだけ絞れるようになった。火災保険を見直したときに学んだ、あの原則そのものだ。
貯蓄がないから保険に頼る。保険にお金を払うから、また貯蓄ができない。持ち家時代は、そういう悪循環の中にいたのだと思う。手残りが生まれたことで、その循環から抜け出せた。お金の面で、生活がはっきり楽になった。
「貯まってから」を待たないことにした
もうひとつ、変わったのは、お金を使うタイミングの考え方だ。
これまで貯蓄ができなかった反動で、最初は「まず貯める」ことばかり考えていた。でも、途中で気づいたことがある。子どもの教育費のために貯蓄と投資をするのは大事だ。でも、「お金が貯まってから、家族で楽しもう」と先延ばしにしていたら、その頃には子どもたちは大きくなって、もう一緒に出かけてくれないかもしれない。旅行にもついてこなくなるかもしれない。
私たちが死ぬときにお金持ちになっていても、何の意味もない。かといって、使いすぎてしまえば、将来の教育費や老後で苦しむことになる。貯めすぎてもダメ、使いすぎてもダメだ。
だから我が家は、「家族のお出かけ費用」を、我慢して余ったお金ではなく、最初から枠として確保することにした。旅行費を積み立てているのも、貯蓄と同じくらい優先順位が高いからだ。手残りの範囲でなら、思う存分使っていいことにしている。
心が豊かになる使い方
実際にこの配分で暮らしてみて、いちばん実感しているのは、お金の余裕が心の余裕に直結するということだ。
家族のお出かけデーには、値段を気にせず楽しめる。私も妻も、それぞれ趣味や美容にお金を使えるようになった。自分への小さな投資が、暮らし全体の機嫌を良くしてくれる。第4章で書いた「狭くなって家族の時間が増えた」という変化と、この「お金の余裕」は、たぶんセットになっている。
持ち家を手放して、狭い家に移って、失ったものもある。それでも、貯蓄・投資・旅行・日々の暮らし、そのすべてに少しずつお金を回せるようになったいまのほうが、家計にも心にも、余白があると感じている。
お金は、貯めるためだけにあるのでも、使うためだけにあるのでもない。今を豊かに、楽しく、幸せに過ごすために使う。それが、この住み替えを通して、我が家がたどり着いた結論だ。
次の章では、ここまでの話を振り返って、持ち家を手放したこの選択について、あらためて総括しようと思う。
ちなみに、この配分を決める土台になっている、我が家の同財布の仕組みについてはこちらの記事にまとめている。
この「今を豊かに」という考え方は、後から読んだ『DIE WITH ZERO』という本の主張とほぼ同じだった。その要約と、我が家の実践はこちらの記事にまとめている。


コメント