持ち家の本当のコストは月9.7万円だった。「あれ?」を数字で確かめた話

住まいとお金

第2章 「あれ?」を数字で確かめた。持ち家の本当のコスト

「家賃を払い続けるのはもったいない」

家を買う前、私が何度も聞かされ、そして信じていた言葉だ。家賃は掛け捨て、ローンは資産になる。だから買ったほうが得。理屈としては、正しいように聞こえる。

でも、あの「あれ?」という違和感の正体を突き止めるため、私は初めて、家にかかっているお金をぜんぶ書き出してみた。

結果を先に言う。我が家の持ち家コストは、月あたり約9万7千円だった。

ローンだけ見ていた私の落とし穴

毎月のローン返済は、約5万円だった。

この数字だけ見れば、「家賃より安い。やっぱり買って正解だ」と思える。実際、当時の私はそう思っていた。

でも、我が家にはボーナス払いがあった。6月と12月に、それぞれ13万円。年間にすると26万円で、月に均せば約2万2千円になる。つまりローンだけで、実質は月約7万2千円を払っていた。

そして、持ち家のお金はローンだけでは終わらない。書き出してみて、自分でも驚いた。

項目実際の支払い月あたり
ローン返済(毎月分)月5万円50,000円
ローン返済(ボーナス払い)年2回 各13万円約21,700円
固定資産税年約10万円約8,300円
火災保険10年で約35万円約2,900円
地震保険10年で約5万円約400円
浄化槽の清掃費年約6万円5,000円
修繕費(築6年目以降)年約10万円約8,300円
合計約96,600円

月約9万7千円。「月5万円のローン」のはずが、実際にはその倍近いお金が、家から出ていっていた。

修繕費は、ある日突然やってくる

表の中でいちばん実感が湧きにくいのが、修繕費だと思う。だから実例を挙げる。

エアコンが壊れて、1台あたり約5万円。コンロの交換で約7万円。トイレの不具合で約7万円。

どれも、住んで6年目あたりから立て続けにやってきた。しかも困るのは、これらが「予定できない」ことだ。固定資産税のように毎年来るとわかっていれば備えられる。でも設備の故障は、ある日突然、生活を止める形でやってくる。エアコンなしの夏を、沖縄で過ごすわけにはいかない。直すしかない。

賃貸なら、これは大家の負担だ。持ち家なら、ぜんぶ自分の負担だ。

ちなみに、この火災保険そのものも、あとで大幅に見直すことになる。手厚く入りすぎた保険を半分に減らした話は、こちらの記事にまとめた。

もうひとつの見落とし。住居手当という「もらい損ね」

そして、書き出して初めて気づいた数字がもうひとつあった。

職場の住居手当だ。私の職場では、賃貸に住んでいれば月2万8千円の手当が出る。でも持ち家には出ない。

つまり持ち家でいる間、私は月9万7千円を払いながら、月2万8千円をもらい損ねていた。実質の差は、月12万円を超えていたことになる。

いまの暮らしと、数字で比べてみる

現在の1LDKの家賃は、約9万円。そこから住居手当の2万8千円を引くと、実質の住居費は月6万2千円だ。

持ち家時代の住居コスト月 約97,000円
いまの実質住居費(家賃9万円−手当2.8万円)月 62,000円
差額月 約35,000円

月3万5千円。年間にすれば、約42万円。

我慢していた家族旅行に、毎年行ける金額だった。

「家賃はもったいない」と信じて買った家のほうが、家賃より高くついていた。しかも突発の修繕におびえながら。数字にして初めて、あの「あれ?」の正体がはっきり見えた。

ただし、誤解しないでほしい。これは「持ち家が損だ」という話ではない。我が家の場合の、我が家の数字だ。ローンの組み方も、手当の有無も、家庭によってぜんぶ違う。だからこそ、一度書き出してみてほしい。あなたの家の数字を。

そして、ここまで読んで気づいた人もいるかもしれない。

私はこの家を、売らなかった。貸すことを選んだ。その家賃収入が、いまの我が家の家計を大きく変えている。

次の章では、「売るか、貸すか」で悩み抜いた話をしようと思う。

第3章「査定額4,500万円の家を、売らずに貸した理由」へ続く

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