沖縄で賃貸と持ち家、どっちが得?両方経験した元マイホーム所有者の結論

沖縄の住宅街と高層マンション。賃貸と持ち家どっちが得かの記事のアイキャッチ 沖縄暮らしの家計
追記(2026年9月):この記事を書いた後、我が家は1LDKから3LDKの賃貸に引っ越しました。家賃は月4万円上がりましたが、毎月の余りは増えています。その家計の変化は1LDKから3LDKへ引っ越した5人家族の家計に全部書きました。この記事の住居費などは、1LDKに住んでいたときの数字です。

「沖縄で家を持つなら、賃貸と持ち家、結局どっちが得なの?」

この手の議論は、ネットにあふれている。でも、そのほとんどは「持ち家派」か「賃貸派」、どちらか一方の経験しかない人が書いたものだ。持ち家の良さを語る人は賃貸の実感を知らないし、賃貸派は持ち家の重みを知らない。

私は、その両方を経験している。しかも、ただ住んだだけではない。4LDKのマイホームに住み、それを手放すときに売却も検討し、最終的には人に貸す「大家」になり、いまは自分自身が1LDKの「賃貸生活者」でもある。

持ち家・売却検討・賃貸経営・賃貸生活。この4つの立場を全部くぐり抜けた上で、「沖縄で、賃貸と持ち家、どっちがいいのか」に、自分なりの答えを出してみようと思う。

持ち家だった頃:数字を知らずに「持ち家は資産」を信じていた

私たち家族は、かつて木造4LDKのマイホームに住んでいた。天井が高く、庭も車庫も広い、自慢の家だった。「家を持ってこそ一人前」だと信じ、ローンを組んで手に入れた家だ。

でも、実際に家計を書き出してみたら、月々のローン返済(5万円)だけでは済んでいなかった。固定資産税、火災保険、浄化槽の清掃費、そして築6年目あたりから増え始めた修繕費まで足すと、持ち家にかかる本当のコストは月9.7万円だった(詳しい内訳はこちら)。

「持ち家は資産」という言葉を、私は数字も知らずに信じていた。これが、持ち家側から見た、最初の実感だ。

沖縄の家は、台風という「見えない維持費」がある

持ち家のコストの話をするとき、沖縄では本州以上に意識しておくべきことがある。台風だ。

毎年のように大型台風が来る土地で、屋根や外壁、雨どい、カーポートは着実に傷んでいく。私が経験した「築6年目あたりから設備の不具合が増えた」という感覚(エアコン、コンロ、トイレの故障)も、沖縄の気候と無関係ではないはずだ。火災保険を見直したとき、風災の補償だけは手厚く残した(この経緯はこちら)のも、沖縄で持ち家を維持するなら、台風は「たまに来る災害」ではなく「毎年発生する経費」として見ておく必要があると学んだからだ。

賃貸なら、この台風による修繕は基本的に大家の負担だ。持ち家なら、自分の負担になる。沖縄で暮らすなら、この差は本州よりも大きいと感じている。

大家になって分かった、持ち家の「資産」としての顔

次に、大家としての経験を書く。

あの家を手放すとき、私は売却と賃貸経営の両方を検討した。査定に出したら、約4,500万円の値がついた。まとまったお金が入る魅力はあったが、最終的に選んだのは「貸す」ことだった。理由は、表面利回りが9.6%(実質8.4%)と良好で、立地的に借り手がつく確信もあったからだ(詳しい経緯はこちら)。

結果、あの家は毎月お金が出ていくだけの「負債」から、毎月約10万円の手残りを生む「資産」に変わった。同じ家、同じ場所。変わったのは、住む人としての私から、貸す人としての私に、立場が変わっただけだ。

この経験から言えるのは、「持ち家=資産」でも「持ち家=負債」でもなく、住み続けるか、貸すかという使い方次第で、持ち家の顔は変わるということだ。

いま賃貸生活者として:狭さと引き換えの自由

最後に、いま賃貸生活者としての実感を書く。

我が家はいま、家族5人と愛犬1頭で1LDKの賃貸に住んでいる。家賃・共益費・駐車場などを合わせた住居費は月92,402円、うち2万8千円は職場の住居手当でまかなえるので、実質の負担は月6万4千円ほどだ。持ち家時代の9.7万円と比べれば、住居費だけで見ても月3.2万円軽くなった計算になる。

広さは半分以下になったが、失ったものより、得たもののほうが大きかった。家族が集まる時間が増え、会話が増え、子どもたちは以前より安心して過ごせるようになった(詳しくはこちら)。そして、突発的な修繕費に怯える必要もない。設備が壊れても、直すのは大家の仕事だからだ。

賃貸のいちばんの価値は、この「身軽さ」だと思っている。家族の形が変われば、住み替えればいい。持ち家では、そう簡単にはいかない。ただし、身軽に住み替えるにも物件選びを外すと後悔する。大家と借り手の両方の目で確認すべき点をまとめた内見チェックリストも参考にしてほしい。

数字で見る沖縄:持ち家率は全国最下位の42.6%

私個人の経験だけでなく、沖縄全体の数字も見ておきたい。総務省の令和5年住宅・土地統計調査(2023年10月1日現在)によると、沖縄県の持ち家率は42.6%で全国最下位だ。全国平均が60.9%なので、18ポイント以上低い。

しかも、この数字は下がり続けている。沖縄の持ち家率は1988年頃には約60%あったが、2013年に50%を割り、2023年に42.6%まで低下した。50年で25ポイント以上下がった計算になる。

持ち家率数値
沖縄県(2023年・全国47位)42.6%
全国平均60.9%
秋田県(全国1位)77.1%

つまり沖縄では、賃貸で暮らすことは少数派ではなく、むしろ多数派に近い。「家を持ってこそ一人前」という私が信じていた価値観は、少なくとも統計上は、沖縄の実態とずれていたということになる。

ただし正直に書くと、いま沖縄の家賃は上がっている

ここまで賃貸の身軽さを書いてきたが、賃貸派にとって不都合な事実も正直に書いておきたい。沖縄の家賃は、いま急激に上がっている。

アットホームの調査によると、2024年と2年前を比べて、本島北部の単身向けマンションは43.1%上昇、中部のファミリー向けも20%増となっている。北部は「ジャングリア沖縄」開業の影響もあり、物件の争奪戦とも言われる状況だ。

これは、賃貸を選ぶ側にとって見過ごせない話だ。持ち家のローンは(固定金利なら)返済額が変わらないが、家賃は更新のたびに上がりうる。私が「賃貸のいちばんの価値は身軽さだ」と書いたのは本心だが、その身軽さは「家賃が安定している」という前提の上に成り立っているわけではない。

我が家の場合、住居手当2万8千円で実質負担を6万4千円ほどに抑えられているが、この構造も家賃が上がれば崩れていく。だからこそ、賃貸を選ぶなら「いくらまでなら払えるか」の上限を、最初に自分で決めておく必要があると考えている。

出典: 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、アットホーム調査(2024年・2年前比較)

結論:「どっちが得か」ではなく、「どちらが今の自分に合うか」

持ち家・売却検討・賃貸経営・賃貸生活。4つの立場を経験して、私が出した結論はこうだ。

「持ち家と賃貸、どっちが得か」という問いの立て方自体が、実はあまり意味を持たない。持ち家は、住み続ければ重い負債になりうるし、貸せば安定した資産になる。賃貸は、身軽さと引き換えに、資産としては何も残らない。どちらにも、良い面と悪い面がある。

大事なのは、「得か損か」を一般論で探すことではなく、いまの自分の家族にとって、何にお金と時間を使いたいかを、数字で確かめることだ。私たち家族は、身軽さと、家族の時間と、心の余裕を選んだ。だから、狭い家を選んで、後悔していない。

沖縄で家を持つか、借りるか迷っているなら、まず自分の家(またはこれから住む家)の本当のコストを書き出してみてほしい。そこから、あなたにとっての答えが見えてくるはずだ。

参考までに、我が家の持ち家時代と賃貸のいまを、実数字で比較した記事もこちらにまとめている。

もし今、持ち家に住んでいて「うちはどっちが得なんだろう」と迷っているなら、まず自分の家がいくらで売れるのかを知ることから始めてほしい。数字が分かれば、売る・貸す・住み続けるの比較ができるようになる。

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