持ち家と賃貸、家計の負担を実数字で比較。差額は年間約39万円だった

電卓とノートで家計を計算する手元。持ち家と賃貸の家計比較記事のアイキャッチ 住まいとお金
追記(2026年9月):この記事を書いた後、我が家は1LDKから3LDKの賃貸に引っ越しました。家賃は月4万円上がりましたが、毎月の余りは増えています。その家計の変化は1LDKから3LDKへ引っ越した5人家族の家計に全部書きました。この記事の住居費などは、1LDKに住んでいたときの数字です。

「持ち家と賃貸、家計への負担はどれくらい違うのか」

ネット上には、この手の比較記事がたくさんある。でも、そのほとんどは仮定の数字を使ったシミュレーションだ。この記事では、私が実際に4LDKの持ち家から1LDKの賃貸に住み替えたときの、正真正銘の実数字を公開する。

持ち家時代の住居費:月9.7万円

まず、持ち家時代にかかっていたお金をすべて書き出す。ローンの返済額だけを見ていた頃は、月5万円で済んでいると思っていた。でも、実際に洗い出すと、これだけの費用がかかっていた。

項目月あたり
ローン返済(毎月分)50,000円
ローン返済(ボーナス払い分)約21,700円
固定資産税約8,300円
火災保険約2,900円
地震保険約400円
浄化槽の清掃費5,000円
修繕費(築6年目以降の平均)約8,300円
合計約96,600円

ローンの返済額(実質7.2万円)だけを見ていたら気づけなかった、あと2.5万円分。これが、持ち家という選択に隠れていた「見えないコスト」だった。詳しい内訳はこちらの記事に書いている。

賃貸生活の住居費:実質月6.4万円

次に、いまの1LDK賃貸生活の住居費だ。

住居費(家賃・共益費・駐車場など)92,402円
職場の住居手当-28,000円
実質の住居費64,402円

住居費だけを見れば9万2千円。でも、職場の住居手当(2万8千円)は持ち家には出ない仕組みだったので、これを引いた実質6万4千円が、正しい比較対象になる。

差額は月3.2万円、年間で約39万円

2つを並べると、こうなる。

持ち家時代の住居コスト月 約97,000円
いまの実質住居費月 64,402円
差額月 約32,000円/年 約39万円

この差額は、いま我が家では貯金・投資・旅行費・家族のお出かけ費用に振り分けている(内訳はこちら)。単なる「浮いたお金」ではなく、暮らしの余裕そのものに変わった実感がある。

この比較で見落としてはいけない2つの注意点

ただし、この数字をそのまま鵜呑みにしないでほしい。2つ、大事な注意点がある。

1. 持ち家は「資産」として残る

賃貸の家賃は、払った分がそのまま消えていく。一方、持ち家のローン返済は、資産としての家に変わっていく側面がある。我が家がそうだったように、住まずに貸し出せば、その資産は家賃収入を生む(実際の収支はこちら)。単純な月々のコスト比較だけで「賃貸の圧勝」と結論づけるのは早計だ。

2. 住居手当の有無で、比較はガラッと変わる

我が家が賃貸で得をしている理由の一つは、住居手当の存在だ。持ち家には出ないが、賃貸には出るという、勤務先の制度によるものだった。もし住居手当がない職場なら、この差額はもっと小さくなる。自分の勤務先の制度を、まず確認してほしい。

いちばん大事な視点:ローンを完済すると、この関係は逆転する

ここまで「年間約39万円の差」を書いてきたが、この記事でいちばん伝えたい注意点を最後に書く。この約39万円は、ローンを返している期間だけの話だ。

もう一度、持ち家時代の月9.7万円の中身を分解してみる。

ローン返済(毎月分+ボーナス払い分)約71,700円
それ以外(税金・保険・浄化槽・修繕)約24,900円
合計約96,600円

持ち家の負担のうち、約7.2万円はローンだ。つまりローンを完済すれば、持ち家の住居費は月2.5万円ほどまで落ちる。一方、賃貸の実質6.4万円は、完済という概念がないので一生払い続けることになる。しかも沖縄の家賃はいま上昇局面にある(本島北部の単身向けマンションは2年で43.1%上昇というアットホームの調査もある)。

長期で並べると、こうなる。

時期持ち家賃貸(実質)差
ローン返済中約97,000円64,402円賃貸が月3.2万円有利
ローン完済後約25,000〜30,000円64,402円(上昇リスクあり)持ち家が月3.4〜3.9万円有利

ローンが終わった瞬間に、有利・不利がひっくり返る。私が「年間約39万円お得になった」という数字だけで「賃貸の勝ち」と言い切らないのは、これが理由だ。

ただし、持ち家側にも不都合な事実がある

公平を期すために、持ち家に不利な事実も書いておく。上の表で使った修繕費8,300円/月は、あくまで我が家の「築6年目以降の平均」だ。家の修繕は、築年数が進むほど山が大きくなる。

アットホームが築30年以上の一戸建てに住む人を対象に行った調査(2021年)によると、30年間の修繕費の平均は全体で532.1万円。構造別では木造が470.2万円、鉄筋・鉄骨造が617.7万円だった。築45〜49年になると、木造でも平均748.2万円まで増えている。

修繕箇所時期の目安費用の目安
給湯器築10〜15年15〜20万円
キッチン築10〜15年50〜100万円
外壁塗装築20年100〜150万円
屋根塗装築20年50〜100万円
給排水設備築20年50万円

木造の平均470.2万円を30年で割ると、月あたり約1.3万円になる。我が家の8,300円より5千円ほど高い。つまり長い目で見れば、持ち家の維持費は私が経験した金額よりもう少し重くなる、というのが正直なところだ。それを織り込んだのが、上の表の「完済後2.5〜3.0万円」というレンジだ。

そして沖縄では、これに台風が加わる。屋根・外壁・雨どい・カーポートが毎年の暴風にさらされる分、本州の平均より修繕サイクルは早まると考えておいたほうがいい(沖縄の台風と火災保険の話はこちら)。

我が家が実際に選んだのは、3つ目の道だった

ここまで読むと、「では結局どっちなのか」と思うかもしれない。私が実際に選んだのは、持ち家に住み続けるでも、売って賃貸に移るでもなく、3つ目の道だった。

家は手放さず、人に貸した。そうすることで、ローンの返済は入居者からの家賃でまかなわれ、完済後には修繕費だけを負担する資産として残る。そして自分たちは、住居手当の出る賃貸で身軽に暮らす。この形にたどり着いた経緯と実際の収支は、こちらの記事に書いている。

「持ち家か賃貸か」という二択で考えていた頃には、この選択肢は見えていなかった。数字を全部書き出してみて初めて、3つ目の道があることに気づけた。

出典: アットホーム「一戸建て修繕の実態」調査(2021年・築30年以上の新築一戸建て購入者)、アットホーム 沖縄県内賃貸マンション・アパート賃料動向調査

結論:比較の答えは、あなたの数字の中にある

我が家の場合、持ち家から賃貸への住み替えで、月3.2万円、年間約39万円の余裕が生まれた。でも、これはあくまで「我が家の数字」だ。ローンの組み方も、住居手当の有無も、家庭によって全く違う。

持ち家と賃貸、どちらが得かを一般論で語る記事は多いが、本当に知るべきなのは「自分の家の数字」だ。ローン、税金、保険、修繕費用を一度全部書き出してみてほしい。私がそうしたように、そこから初めて、自分にとっての答えが見えてくる。

ちなみに、我が家がどんな順番で固定費全体を見直していったかは、こちらの記事にまとめている。

この比較はあくまで我が家の数字だ。持ち家をお持ちなら、まずご自身の家の査定額を知ることで、より現実的な比較ができるようになる。

この記事を書いた人

うちなーおとー

沖縄生まれ・沖縄育ち。妻と子ども3人(9歳・6歳・1歳)、愛犬と暮らしています。4LDKの持ち家を売るか貸すかで本気で迷い、いまはその家の大家であり、家族5人で1LDKに住む借り手でもあります。記事の数字は、できる限りわが家の実際の家計から出しています。

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