『DIE WITH ZERO』要約。子育て世帯こそ「今」にお金を使うべき理由

沖縄暮らしの家計

『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著)を読んだとき、私は自分がやってきたことに、名前がついたような気がした。

持ち家を手放し、浮いたお金を貯金だけに回さず、旅行や家族のお出かけにも配分する。子どもの「やりたい」を予算より優先する。そんな我が家のお金の使い方は、この本の考え方とほとんど同じだった。

この記事では、本書の要点を整理しつつ、子育て世帯である我が家がどう実践しているかを書いていく。

『DIE WITH ZERO』の中心にある考え方

タイトルの通り、この本の主張は「死ぬときに資産をゼロにする」ことを理想とするものだ。ただし、これは浪費のすすめではない。お金を貯めることそのものが目的化してしまい、使うべきタイミングを逃してしまう人が多い、という問題提起だ。

本書の核になる考え方をいくつか挙げる。

  • 「今しかできないこと」に投資する — 体力や健康、家族の年齢によって、できる経験には賞味期限がある
  • 記憶の配当 — 経験に使ったお金は、その後何度も思い出として価値を生み続ける
  • タイムバケット — 人生を時間帯で区切り、それぞれの時期にやりたいことを配置する
  • 子どもには死ぬ「前」に与える — 相続で渡すより、必要な時期に渡すほうが価値が高い

「賞味期限」という言葉が、いちばん刺さった

子育て中の身として、最も納得したのが「やりたいことには賞味期限がある」という指摘だった。

我が家には9歳、6歳、1歳の子どもがいる。この子たちが親と手をつないで出かけてくれる時期は、あと何年あるだろうか。家族旅行に「行きたい」と言ってくれる期間は、思っているより短いはずだ。

「お金が貯まってから、家族で楽しもう」と先延ばしにしていたら、その頃には子どもたちはもう一緒に出かけてくれないかもしれない。これは、私が持ち家を手放したあとのお金の使い道を決めるとき(第5章はこちら)に、まさに考えたことだった。本を読む前から、同じ結論にたどり着いていたことになる。

我が家の実践:先取りで「経験の予算」を確保する

とはいえ、「今を楽しもう」だけでは家計が破綻する。本書も、無計画な浪費を勧めているわけではない。大事なのは、将来への備えと今の経験を、どう配分するかだ。

我が家の具体的な配分は、こうなっている。

貯金5万円
投資(NISA)2万円
旅行費の積み立て3万円
家族のお出かけ費用残り

ポイントは、旅行費を「余ったら行く」ではなく、貯金や投資と同じ先取りの枠として確保していることだ。経験にお金を使うことを、貯蓄と同列の「やるべきこと」として扱っている。これが、我が家なりの『DIE WITH ZERO』の実践だと思っている。

子どもの習い事についても同じ考え方で、予算を先に決めるのではなく「子どものやりたい」を優先し、後から家計を調整している(詳しくはこちら)。習い事も、その年齢でしかできない経験の一つだからだ。

「子どもには死ぬ前に与える」を、児童手当で考える

本書のルールの一つに、「子どもには死ぬ前に与えよ」というものがある。相続として渡すより、子どもがそのお金を最も必要とする時期に渡すほうが、価値が大きいという考え方だ。

この視点は、児童手当の使い道を考えるときにも効いてくる。我が家は児童手当の月5万円を、NISAでの積立に3万円、生活費に2万円という配分にしている(詳しくはこちら)。「全額貯金すべき」という定番のアドバイスに従わず、一部を今の子育てに使っているのは、まさに「今の子どもに与える」という発想だ。

子育て世帯こそ、この本を読む価値がある

『DIE WITH ZERO』は、しばしば「独身のFIRE志向の人向け」のように紹介されることがある。でも私は、子育て世帯にこそ響く本だと思っている。

教育費、住宅費、老後資金。子育て中は、将来への備えを求められる場面が本当に多い。だからこそ「今」が後回しになりやすい。そんな時期にこの本を読むと、貯めることと使うことのバランスを、もう一度自分の頭で考え直すきっかけになる。

貯めすぎてもダメ、使いすぎてもダメ。今を楽しく豊かに過ごすためのお金をつくる。持ち家を手放すという大きな選択をした我が家が行き着いた結論は、この本のメッセージとほとんど同じだった。同じように悩んでいる子育て世帯の方に、一度手に取ってみてほしい一冊だ。

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