沖縄移住と子育ての現実|待機児童171人・医療費無料・保育料の実額を地元民が解説

沖縄暮らしの家計

沖縄移住を検討する子育て世帯から、いちばん多く聞かれるのが「保育園に入れるのか」だと思う。

移住記事の多くは、海の近さや家賃、のんびりした暮らしを書く。でも子どもがいる家庭にとって、優先順位はそこではない。保育園に入れなければ働けない。病院が遠ければ不安が続く。ここが決まらないと、移住そのものが成り立たない。

この記事では、沖縄で生まれ育ち、いま読谷村で子育てをしている私が、公的データと我が家の実額を並べて書いていく。良い面も、正直に厳しい面も書く。

待機児童は、この10年でまったく別の状況になった

「沖縄は待機児童が多い」というイメージを持っている人は多いと思う。実際、かつてはそのとおりだった。しかし今は状況が大きく変わっている。

時点沖縄県の待機児童数
2025年4月1日356人
2026年4月1日(速報値)171人

1年で185人、率にして52.0%の減少。しかもこれは単年の話ではなく、10年連続で過去最少を更新している。待機児童がいるのは県内41市町村のうち14市町村で、残りはゼロだ。

10年前の感覚で「沖縄は保育園に入れない」と判断すると、実態を見誤ることになる。

読谷村は、1年で県内最多からほぼ解消した

ここは私自身の住む町の話なので、少し詳しく書いておきたい。

読谷村は2025年、県内で最も待機児童が多い自治体だった。それが2026年4月時点では40人減って6人になっている。

正直に言えば、我が家が読谷村を選んだとき、この数字は不安材料だった。それでも住む場所として選んだのは、保育園の空き状況が数年単位で動くものだと知っていたからだ。実際、1年でここまで変わった。

逆に言えば、これは「今年の数字だけを見て決めてはいけない」という話でもある。今ゼロの自治体が、来年ゼロとは限らない。移住先を絞ったら、その自治体の直近3年分の推移を役場に確認したほうがいい。1年分の数字は、たまたまかもしれない。

子どもの医療費は、中学卒業まで窓口負担なし

沖縄県のこども医療費助成は、2022年4月から中学校卒業まで「現物給付」になった。

現物給付というのは、窓口でお金を払わなくていい方式のことだ。県内の協力医療機関で受給資格者証を提示すれば、保険診療分の自己負担なしで受診できる。

これが地味に大きい。以前のように「いったん窓口で払って、後から申請して払い戻し」という方式だと、申請を忘れて取り逃がすことが普通に起きる。子どもが3人いれば、通院の回数もそれだけ増える。

子育て世帯にとって、医療費を心配せずに小児科に連れて行けるのは、金額以上に精神的な負担が軽い。

我が家の保育料は月33,500円

実額を出しておく。我が家(5人家族)の保育料は月33,500円だ。

保育料は世帯の住民税額と子どもの年齢・人数で決まるので、この金額がそのまま誰にでも当てはまるわけではない。ただ、沖縄の家計における実感値としては参考になると思う。家計の全項目は5人家族の家計簿の記事にまとめている。

正直に書く:収入の水準は全国最下位

ここまで良い面を書いてきたので、厳しい面も同じだけ書く。

項目金額
沖縄県の最低賃金(2025年12月1日発効)1,023円
全国加重平均1,121円
差98円(8.7%低い)

沖縄県の最低賃金は全国47都道府県で最下位だ。この5年で231円(29.2%)上がってはいるが、全国との差は埋まっていない。

子育て支援が手厚くても、収入が下がれば家計は苦しくなる。「支援が充実しているから大丈夫」ではなく、「収入がいくらになるか」を先に確認してほしい。転職を伴う移住なら、内定の条件を見てから住む場所を決めるくらいでちょうどいい。

沖縄の生活費全体はこちらの記事に実額でまとめている。

送迎は車。ここは想像以上に効く

沖縄は車社会だ。保育園の送迎も、習い事も、病院も、基本は車になる。

共働きで送迎を分担するなら、実質的に車が2台必要になる家庭が多い。我が家も2台だ。維持費は年間82万〜87万円かかっている(内訳はこちら)。

ここを見落とすと、家賃の安い地域を選んだつもりが、車の維持費で差が消えるということが起きる。子育て世帯は特に、家賃と車をセットで考えたほうがいい。

地域とのつながりは、子育てではプラスに働く

沖縄、特に郊外は近所付き合いが濃い。人によっては負担に感じる部分だと思う。

ただ、子育てに関して言えば、この濃さは味方になることが多い。気にかけてもらえる。声をかけてもらえる。子どもを地域で見てくれる感覚が、まだ残っている。

近所付き合いの実際については移住して後悔しないための記事に詳しく書いた。合う・合わないがはっきり出る部分なので、移住前に読んでおいてほしい。

なお、児童手当は全国共通の制度なので沖縄でも同じように受け取れる。我が家がこれをどう配分しているかは児童手当の使い道の記事に書いた。

子育て世帯が移住前に確認すること

  • ☐ 候補自治体の待機児童数を直近3年分確認する(1年分では判断しない)
  • ☐ 認可外を含めた保育施設の数と、自宅・職場からの距離
  • ☐ 小児科と、夜間・救急に対応できる病院までの距離
  • ☐ 保育料の目安(自治体の階層表で世帯年収から確認)
  • ☐ 転職後の想定年収(沖縄の賃金水準を前提に)
  • ☐ 車が何台必要か(送迎の分担を具体的に)
  • ☐ 学童保育の受け入れ状況(小学校入学後を見据えて)

まとめ:支援は良くなっている。ただし収入とセットで考える

沖縄の子育て環境は、この10年で確実に良くなった。待機児童は171人まで減り、医療費は中学卒業まで窓口負担なし。地域のつながりも子育てには働く。

その一方で、賃金は全国最下位のままだ。支援の手厚さだけを見て移住を決めると、家計の面で想定と違う、ということになりかねない。

読谷村が1年で県内最多からほぼ解消したように、この分野の数字はよく動く。移住先を絞ったら、必ず自治体に直接確認してほしい。ネットの記事は、私のものも含めて、書かれた時点のスナップショットでしかない。

住む場所そのものの選び方はエリア別の記事にまとめている。あわせて読んでもらえたらと思う。

沖縄の食料物価は全国1位というデータがあります。食費の考え方はあわせて確認してください。

保育料・習い事・学童を合わせた子ども費84,500円の全内訳も公開しています。

出典: 沖縄県「保育所等利用待機児童数(令和8年4月1日現在・速報値)」/沖縄県「こども医療費助成制度」/厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

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