第4章 家族5人、1LDKでどう暮らしているのか
数字の話が続いたので、ここで一度、暮らしそのものの話をしようと思う。
家族5人、それに愛犬が1頭。これが、4LDKから1LDKに移った我が家のメンバーだ。
広さは半分以下になった。当然、狭い。狭さは、隠しようがない現実として、毎日の暮らしのあちこちに顔を出す。今日はその中から、キッチンの話をしたい。
シンクはいつも、満杯だった
7人分(人間5人+犬1頭のごはん皿も含めれば、実質もっと)の洗い物が出る家で、キッチンは小さい。シンクの中は、いつも食器でいっぱいだった。
前の家には、食洗機があった。出勤前に食器を入れておけば、帰るころには乾いている。あって当たり前だと思っていたその存在の大きさに、なくなって初めて気づいた。
でも、いまの賃貸アパートに食洗機はない。そしてキッチンそのものが小さいから、そもそも後付けで置く場所もない。「ないなら、なんとかする」しかなかった。
食器を「減らす」という発想
最初に見直したのは、食器の数だった。
前の家では、ご飯を入れる茶碗、おかずを入れる皿、副菜を入れる小鉢と、用途ごとに食器を分けていた。それが当たり前だと思っていたし、食卓もそのほうが整って見えた。
でも、1LDKでは、その「当たり前」がそのまま洗い物の量と収納の圧迫に直結する。用途ごとに分ければ分けるほど、洗うものは増え、しまう場所は足りなくなる。
そこで、思い切って減らすことにした。行き着いた考え方はシンプルだ。
大は小を兼ねる。
大きめの皿を何枚か残して、あとはほとんど処分した。ご飯もおかずも副菜も、その大皿1枚に乗せる。見た目は多少ワンプレートっぽくなるが、食べるのに困ることは何もない。
減らしたら、暮らしのほうが軽くなった
結果は、はっきりしていた。洗い物の数そのものが減った。シンクが満杯になる頻度が減った。そして、しまう場所に困ることも減った。
収納場所が限られる1LDKでは、そもそも「持たない」ことが、いちばん効く解決策になる。食洗機という設備を失ったとき、私たちが最初にやったのは、代わりの家電を探すことではなく、洗うもの自体を減らすことだった。
これは、家を4LDKから1LDKに変えたことで、いちばん強く実感した変化かもしれない。広い家では、「増やして解決する」ことができた。物を置く場所が、たいていあったからだ。でも狭い家では、「減らして解決する」しかない場面が増える。
不便になった、とは思わなかった。むしろ、食器棚を開けるたびに、何がどこにあるかすぐ分かるようになった。少ない食器を、家族5人と犬1頭で、ぐるぐる回して使う。それだけで、キッチンは思ったより機嫌よく回っている。
縦の空間を使う。収納は「置く」から「積む」へ
食器だけでなく、収納そのものにも同じ発想が必要だった。床面積が減った以上、平置きできる場所は限られている。だから、できる限り引き出しタイプの収納ケースを使い、上の空間を積み上げて使うようにした。横に広げられないなら、縦に積む。1LDKでは、これが基本の考え方になった。
テレビも変えた。据え置き型のテレビは、それなりの床面積か棚のスペースを占領する。うちは思い切って、場所を取らないプロジェクタータイプに切り替えた。壁に映すだけなら、テレビ台そのものがいらなくなる。
衣類は、誰が使いやすいかで置き場所を決めた
衣類の置き場所も、単純に「空いている場所に入れる」のではなく、誰がどう使うかで決めた。
大人の衣類は、寝室のウォークインクローゼットへ。そして子どもたちの衣類は、あえてリビングに置くことにした。理由は単純で、子どもたちが自分で着替えやすいようにするためだ。
リビングに衣類を置けば、そのぶんリビングは狭くなる。分かっていて、それでもそちらを選んだ。見た目のすっきりさより、毎朝の準備のしやすさを取った。犬小屋も、同じ理由でリビングに置いている。家族と犬が、いちばん長く過ごす場所に、必要なものを集めた形だ。
狭くなって、増えたもの
ここまで、狭さにどう対処したかという話ばかり書いてきた。でも、狭くなって失ったものより、狭くなって増えたもののほうが、実は大きかった。
家族が集まる時間が増えた。会話が増えた。距離が縮まった。当たり前のようだが、広い家に住んでいたころは、家族がそれぞれの部屋に散らばっていて、顔を合わせる時間は思ったより少なかった。1LDKでは、誰かがリビングにいれば、自然とみんなが集まってくる。毎日が、前よりずっと楽しい。
子どもたちの反応も、正直だった。前の家では、トイレやお風呂がリビングから離れていて、夜になると一人で行くのを怖がっていた。いまは、すべてが近い。「怖くない」「楽しい」と、子どもたち自身が言っている。第2章で書いた「広さは、必ずしも便利さではなかった」という違和感は、子どもたちの言葉でも裏付けられた形だ。
この先の心配と、賃貸だからこその身軽さ
もちろん、この先の不安がないわけではない。子どもたちが思春期を迎えたとき、この距離の近さは、いまと同じようにはいかないかもしれない。それぞれの部屋、それぞれの時間が必要になる時期が、いずれ来る。
でも、そこで頼りになるのが、賃貸というフットワークの軽さだ。持ち家なら、暮らし方が変わっても、簡単には住み替えられない。賃貸だからこそ、そのときの家族の形に合わせて、次の住まいを選び直せる。いまも、その軽さを活かして、次に住む場所をぼんやりと考え始めている。
ちなみに、次の住まいを考えるときの土台として、沖縄のエリア別の家賃相場も公的データで調べてまとめた。住み替えを考えている人は参考にしてほしい。
次の章では、この住み替えで家計がどう変わったか、そのお金の使い道について書こうと思う。
(第5章へ続く)


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